先ずは内傷発熱の内容から始めました。
span style="font-size:large;">《内傷発熱》
発病原因:肝経鬱熱、瘀血阻滞、中気不足、血虚失養、陰精虧虚。
弁証証型:肝鬱発熱、瘀血発熱、気血両虚発熱、陰虚発熱。ただし、各種証型は単独で出現することは少なく、虚実夾雜するものもよく見られます。
各証型の主症状
肝鬱発熱;熱症状は常に情緒変動により起伏する、時に身熱心煩を感じる、イライラ、胸脇悶脹、よくため息をつく、口苦、脈弦数、黄苔。婦女子は月経不調や乳房脹痛。
瘀血発熱:午後あるいは夜間発熱、口渇するが飲みたくない、固定痛や腫塊がある、皮膚がカサつく、顔色は黒あるいは萎黄、紫暗舌あるいは瘀点瘀斑、脈細渋。
気血両虚発熱:発熱は時に高く時に低い、疲労により悪化する、午前の熱勢が明らか、午後あるいは夜間発熱は軽い。気虚に偏るものは;疲労感、食欲がない、自汗、悪風、薄白苔、脈細無力。血虚に偏るものは;顔色に艶がない、動悸、不安感、唇や爪の色が淡い、淡白舌、脈細。(脾胃虚弱症状を伴う)
陰虚発熱:午後あるいは夜間発熱、五心煩熱、顴紅、寝汗、頭暈目眩、不眠多夢、便秘、舌紅、少苔あるいは無苔、脈細数。
以上の内容を理解した上で弁証論治してみました。
練習問題11:内傷発熱(中医文献より)
男、51才。1994年5月初診。
《主訴》低熱(37.2〜38.5℃)が一年余り続く、夜間発熱が甚だしく、五心煩熱、心煩、口渇あるが飲みたくない、精神疲労して無力、顔色紅潮、二便正常、薄苔、脈細やや数。胸部レントゲン・血沈・血液検査・尿検査すべて正常。気陰両虚証として益気滋陰薬を与え、5剤服用後も低熱は変化なし。
再度、弁証論治をしてみましょう。
練習問題12:内傷発熱(中医文献より)
女、39才。1994年2月20日初診。
《主訴》半年前から時々発熱、夜間が特にひどく、その時は手足がじっとできず、煩躁して横になれず、体温は37.8℃。常に去痛片・感冒通解熱の薬を服用する。そのほかの症状は頭昏、倦怠感、悪心、食欲不振、口渇して熱飲を好む、多汗、身熱は夜間に甚だしい、淡白舌、薄白苔、脈無力。
初診時;陰虚有熱に気虚を兼ねると弁証して、当帰六黄湯を処方する。2剤服用後症状に変化なく、3剤後は身痛、嘔吐、頭暈、嗜臥が現れ、発熱は変化なし。
弁証論治し直しましょう。
どちらも誤治により、弁証論治をやり直した症例です。
中気不足による気虚発熱はどのようにして生じるかは、分かりにくいので解説を加えました。その内容は脾胃論に詳しく説明されていますが、少し分かりにくいので解説しました。